1999年11月11日、外国のカブトムシ・クワガタムシの輸入が部分的に解禁となりました。
手軽に、生きている実物に触れることができるのは喜ばしいことです。
しかし、これが大きな危険をはらんでいることを忘れてはなりません。
外国産の虫を飼う人々にモラルの徹底が急がれますが、なかなか追いつかず、
すでに関東地方などでは野外で沖縄やインドネシアのクワガタが見つかっています。
夏が週ぎると、飼っていた虫を『かわいそうだから逃がしてあげよう』と、野外に放す人がいますが、
それによって次のような困ったことが起こります。
①餌を占領してしまう(競争相手になる可能性)
もともと日本にいるカブトムシやクワガタムシの餌を奪ってしまう可能性があります。
南国の虫だから寒さに弱いとはかぎりません。夏ならまったく平気です。
②地域差がなくなってしまう(遺伝子汚染の可能性)
例えば南国(台湾やタイ、ラオスなど)のオオクワガタが日本で放されて元のオオクワガタと出会ったとします。
産地はちがっても同じ種類ですから交尾・産卵は行われます。
しかし、たとえ種類が同じでも、地域によって生態が少しずつ違っています。
日本のものは冬の寒さに耐えることができますが、南国のものに同じ性質があるとはかぎりません。
外国ばかりでなく、九州や関西のものでさえ他の地方に放すことは大きな問題になるのです。
外見にまったく違いがなくても、生き物はそれぞれの土地で環境に合わせて独特の生活をしています。
成長する季節も、地方によって違います。それらの習性は、長い年月をかけて身につけてきたもので、
遺伝子に組み込まれているものです。人問が勝手に乱してはなりません。
一度飼い始めた虫は絶対に野外に放さない
ということを守ってください。
親切のつもりでも、虫にとっては大迷惑。
手遅れになる前にちょっと考えてみませんか?
みんなの心がけでひとつで、たくさんの日本の虫たちが救われます。
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